Sensing
the Future
はかるを究め、世界を支える
2025年11月に新製品の次世代電子ビームフォトマスク寸法測定装置「HSS-1000」をリリース、12月には子会社ホロンの新工場が竣工しました。「長期ビジョン 2034」の達成に向けA&Dホロンの半導体関連事業は着実に進化をしています。
本特集では、新製品「HSS-1000」と子会社ホロンの新工場についてご紹介します。
新製品「HSS-1000」の
すごいところ
目に見えない
世界で
正しく、
はやく「はかる」技術が進化中
半導体は、電気を「通したり・止めたり」できるスイッチのようなものです。たとえば、皆さんが日常的に使うスマートフォンには、なんとこのスイッチが数百億個も入っています。その一つひとつが当たり前に正常に作動するために、私たちの目には見えない、正しく、はやくはかる技術は欠かせません。
A&Dとホロンの技術力結集!
10年先の半導体製造現場で
求められる水準まで見据えた
「HSS-1000」
新製品の次世代電子ビームフォトマスク
寸法測定装置「HSS-1000」
従来製品の「ZX(ジーテン)」から大幅に性能を向上させ、1.6nmノード以降のEUVマスク製造に求められる極めて高い寸法測定精度を実現。薄膜吸収層(※1)や開発中のレジスト(※2)に対して、クリアで高精細な画像の取得が可能です。これにより、マスク開発段階での効率化と、量産工程での歩留まり改善に大きく貢献します。
- ※1:ウエハにパターンを露光する際、EUV光を吸収してウエハに光が届かないようにするための薄い膜。吸収層がない部分はEUV光が反射し露光される。
- ※2:フォトマスクの回路パターンを作る際に基板に塗布する感光性材料。露光によってその性質が変化し、現像によって微細なパターンを形成できる。
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寸法測定精度
(Static)25%向上
-
測定時間
(MAM time)30%向上
-
ビーム分解能
(Sharpness)15%向上
-
Contrast
to Noise ratio
(CNR)15%向上
PICKUP!
すごいところ
画像のさらなる高精細化と
安定化を実現!
新設計
高精細画像とは、ナノメートルレベルの微細構造を非常に鮮明かつ立体的に捉えた画像のことです。AI技術も活用し、さらなる高精細化と安定化を実現しました。
寸法測定精度の性能大幅UP!
HSS-1000の寸法測定精度は、従来製品「ZX(ジーテン)」と比べて性能を25%向上させ、1.6nmノード以降のEUVマスク製造に求められるきわめて高い寸法測定精度を実現しました。その測定精度は、東京からロンドン間の距離をわずか1ミリメートルの誤差で測る精密さに相当します。
素朴な
ギモン
――半導体はなぜ小さくなるの?
ただ小さくなるだけではありません!
処理速度はより速く、
しかも環境にやさしくなります。
スマートフォンやパソコン、自動車など、あらゆる機器の性能向上を支えているのが半導体です。近年は特にAIの普及により、高性能な半導体への需要が急速に高まっています。半導体は「小さくなる」ことで大きなメリットが生まれます。
例えば、
回路の寸法が
2分の1
になると…
より速く
処理速度
約2倍
より省エネ
消費電力
約4分の1
微細化によって
「より速く」「より省エネ」に
製品をより高性能にするには、限られたスペースの中により多くの半導体を搭載する必要があります。同時に、発熱や電力消費はできるだけ抑えなければなりません。この相反する課題を解決するために、半導体の微細化が進められているのです。
性能向上と省エネの両立。これこそが、半導体が小さくなり続ける最大の理由です。
A&Dと
ホロン開発者インタビュー
株式会社
エー・アンド・デイ
半導体事業本部
半導体開発部 次長
片山 憲一
株式会社ホロン
新技術事業部1部
専任部長
後神 達郎
ついてまわる「ノイズ」との闘い
後神
今回の新製品で、一番こだわったのは、「どこまで正しくはかれるか」という点です。HSS-1000の心臓部である走査電子顕微鏡およびその制御電気系は、従来機の単なる改良版ではなく、ホロンとA&Dの技術を融合して一から新規開発したものです。次世代プロセスノードに求められる極めて高い寸法測定精度を実現するため、分解能および信号対ノイズ比の向上を主眼として開発を進めました。
半導体は、本当にわずかなズレが品質やコスト、生産効率にそのまま影響します。だからこそ、「もっと正しくはかりたい」というお客さまの要求は年々厳しくなっています。
片山
正しくはかるためには、ノイズ(※)をどれだけ取り除けるかが大きな課題でした。マスク上のパターンはSEM(走査型電子顕微鏡)で観察しますが、当初は装置内部のどこかで発生しているノイズの影響で画像が乱れていました。
装置の前に張り付いて、「どこが原因だろう」「次はここを見てみよう」と、ノイズ源を一つずつ探していく作業の連続でした。
※ノイズ:本来の信号パターンを乱す不要な要素の総称。
後神
しかも、ノイズは一つではありませんでした。一つ潰すと、また別のノイズが出てくる。正直、終わりの見えない闘いでしたね。
それでも私たちは、“とにかくきれいな画像をつくる”ことに徹底的にこだわりました。信号と雑音の比率、つまり「本当に見たい情報」をはっきりさせて「邪魔な情報」をどこまで減らすことができるか。そこに集中したことが、精度向上の決め手だったと思います。
片山
本当にそうですね。あの局面は、まさに技術者として腕が試される場面でした。
画像がはっきりと安定し、「これなら使える」と確信できた瞬間は、今回の開発の中でも一番うれしかったですね。
グループだから実現した、技術シナジーの成果
後神
開発を外部委託した場合、技術資産が社外に蓄積される可能性がありますが、グループ内のA&Dに開発を委託することで、安心して技術資産をグループ内に保持できる体制を構築し、高い機密保持を確保することが可能となりました。
その点、今回はA&Dホロングループ内での開発だから、用途や狙いを率直に共有しながら相談できたことは、大きな違いだったと思います。
片山
グループ内だからこそ、ホロンの現行機を実際に見ながら、用途や特性を確認し、理解を深めることができました。フィードバックを受けてすぐ改善する、というサイクルも非常にスピーディでした。
ホロンは、電子ビームそのものを扱うための圧倒的な技術とノウハウを持ち、フォトマスク測定分野で強いブランド力を築いてきました。一方でA&Dは、電子ビームの照射方向制御において世界最高水準の技術を有し、高精度な計測制御やセンシング技術も磨いてきました。
今回の開発では、それぞれの強みがうまく噛み合い、お互いに足りない部分を補い合えたと感じています。
グループの技術力を結集して
日本の未来を元気に
後神
半導体関連装置のトップランナーとして、「ホロンの装置でなければ見えない」と言っていただける存在を目指したいですね。
そのためには、やはり研究開発が要です。お客さまの課題に後手で対応するのではなく、一歩先を見据えて投資を行い、人材を確保・育成し、グループ内の連携もさらに強めていく。そうした体制づくりを進めていきたいと考えています。
片山
半導体分野において最先端技術の導入は、お客さまにとって非常に大きな投資です。これまでは資本力のある海外企業が積極的に取り組み、日本企業には出遅れ感がありました。
ただ、ここ数年で状況は変わりつつあります。日本でも本腰を入れる企業が増えています。
A&Dとホロンが力を合わせ、すでに次の製品開発に取り組んでいます。半導体は、未来の社会を支える重要な産業です。この事業を通じて、日本を元気にしていきたいと思っています。
製造は
モノづくりだけじゃない?
ホロンの工場は、
モノをつくるだけでなく
信頼もつくる
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ホロン新工場(2025年12月竣工)
- 所 在 地:
- 東京都立川市一番町四丁目55番7
- 面積:
- 敷地面積 4,602.64㎡/延べ面積 4,241.79㎡
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ホロン本社工場
- 所在地:
- 東京都立川市上砂町5丁目40番地の1
- 面積:
- 敷地面積 2,847.72㎡/延べ面積 4,584.40㎡
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POINT 01
製造能力が大幅にアップ!
世界的な半導体需要の拡大による生産量の増加と、技術革新の進展による製品開発の活発化。開発機やデモ機の増加によって、本社工場のクリーンルームは移転から1年足らずで手狭となりました。
こうした受注拡大と開発強化の双方に対応するため、このたび新工場を設立。新工場のクリーンルームは、本社工場よりも大幅に拡張し、将来の需要増にも対応できる体制を整えています。 -
POINT 02
開発と製造の「近さ」
Web会議も便利だけど…
装置を見ながら、開発チームと製造チームが対面で議論できるメリットは大きい
新工場には製造機能を集約し、近くにある本社工場のクリーンルームは主に開発専用としました。
新工場は、本社工場から歩いて10分程の場所に位置しています。新工場は製造に特化する工場として設備と人員を集約、これまで製造に使用していた本社工場のクリーンルームは、開発での使用を基本に一部デモンストレーションとシェアして使用します。これにより、製品開発の効率化と拡張を進めています。本社工場では複数の開発テーマを同時並行で進めています。新工場が本社工場に近接していることも大きな強みです。Web会議も便利ですが、問題が発生した際には、製造チームと開発チームが対面で相談できますし、装置の実物を確認しながら議論できます。この「近さ」が、装置の製造スピードと品質をさらに高めています。
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POINT 03
サービス力でも世界中の
顧客から信頼度UP
デモなしで受注するケースもホロンの装置は、世界中で24時間365日稼働しています。トラブル発生時には国内外問わず、リモート支援に加え、担当者がすぐに現地へ向かいます。
ホロンは、派手な売り込み営業をせずとも、「ホロンにお願いしたい」とデモなしで注文が入ることもあります。理由はシンプルです。きめ細かなサポートと高い信頼があるからです。それほどまでに、積み上げてきた実績と信頼がお客様に評価されています。さらに今後は、サービス担当が集めた「お客さまの声」は本社工場の開発チームへ共有します。お客さまの投資計画まで見据え、「次に必要とされる装置」を先回りして開発しています。 -
POINT 04
経営統合で調達力UP
ホロンの装置1台には、膨大な数の部品が使われています。安定して生産を続けるためには、市場の供給状況や価格、納期を常に把握し、計画的に調達することが欠かせません。 近年は物価上昇の影響で部品価格も上昇傾向にあり、利益を圧迫するリスクとなっています。こうした環境に対応するため、ホロンはA&Dの調達部門と連携し、グループとして調達体制とネットワークを強化することで、 安定的かつ効率的な部品調達を実現しています。
ホロンの工場は、「モノ」をつくるだけではなく、「信頼」もつくっています。お客さまのニーズを捉えた開発力、需要に対応できる製造能力、きめ細かいフォローとサービス力、安定した調達力――これらすべてをつなぎ合わせ、「世界から信頼される企業であり続ける」ことを目指しています。それを実現するために、工場の役割は大きいと考えています。