第49期中間株主通信

ご挨拶

株主の皆様におかれましては、
平素より格別のご高配を賜り
厚く御礼申し上げます。
2026年3月期上半期の業績および
今後の見通しをご報告いたします。

上期は前年同期比減益となるものの、
売上高、営業利益ともに計画を達成
不透明な事業環境が続くなかでも
安定成長に向けた施策を展開

半導体関連事業では、当社における足元の需要は調整局面が続いており、一部案件の下半期への期ずれ等の影響により減収減益となりました。一方、2025年11月27日には新製品の次世代CD-SEM「HSS-1000」をリリースいたしました。引き続き新製品開発に注力することで、今後の成長に向けた準備を着実に進めてまいります。計測・計量機器事業では、各地域における堅調な計量機器需要を背景に増収となり、継続的な利益改善の取り組みも奏功し増益となりました。医療・健康機器事業では、顧客・地域ごとの需要変動および販売活動費用増加などの影響により売上はほぼ横ばい、営業利益は減少しました。
以上の結果、当上半期の業績は、売上高30,381百万円(前年同期比0.02%増)、営業利益3,156百万円(前年同期比3.6%減)、経常利益3,330百万円(前年同期比4.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,704百万円(前年同期比3.7%減)となりました。

2026年3月期業績見通しについて
中計初年度として、
今期売上高700億円、営業利益95億円、
過去最高の収益を目指す

世界経済を見渡すと、米国による追加関税政策の影響、中国経済の構造的課題による成長鈍化、ウクライナ情勢の長期化や中東地域の地政学的緊張の高まりなど、依然として不透明な状況が続いております。
こうしたなかで、当社グループは、長期ビジョン2034の実現のために策定した中期経営計画に基づき、各事業の戦略およびグループ機能強化のための施策を推進することで2026年3月期の計画達成に向けて尽力してまいります。

株主の皆様には、引き続きご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

業績ハイライト

2026年3月期 上半期

  • 売上高

    304 億円

    前年同期比

    0.02 % UP

  • 営業利益

    32 億円

    前年同期比

    3.6 % DOWN

  • 親会社株主に帰属する
    中間純利益

    17 億円

    前年同期比

    3.7 % DOWN

業績推移

(単位:億円)

  • 売上高

    【売上高】2023年3期2Q:271億円 2024年3期2Q:293億円 2025年3期2Q:304億円 2026年3期2Q:304億円
  • 営業利益

    【営業利益】2023年3期2Q:18億円 2024年3期2Q:32億円 2025年3期2Q:33億円 2026年3期2Q:32億円
  • 親会社株主に帰属する中間純利益

    【親会社株主に帰属する当期純利益】2023年3期2Q:14億円 2024年3期2Q:21億円 2025年3期2Q:18億円 2026年3期2Q:17億円
2026年3月期第2四半期の決算情報はこちら

森島社長インタビュー
新組織への想いと今後の展望

代表取締役執行役員社長 森島奏信

グローバル展開を牽引する組織改革と
戦略的展望

当社は、長期ビジョン2034『Sensing the Future ~「はかる」を究め、世界を支える~』および中期経営計画の実現に向けた取り組みの一環として、事業会社エー・アンド・デイ(以下、A&D)において2025年7月に大きな組織改革を実施し、半導体事業本部とグローバルマーケティング本部という2つの本部を立ち上げました。新組織への想いと今後の展望について、代表取締役 森島泰信が解説します。

代表取締役執行役員社長 森島奏信

今後の成長に向けた組織戦略
2つの本部を設置した目的とは

今回の組織改革には、大きく2つの目的があります。
まず1つ目は、将来的な事業部体制への移行に向けた組織の整備です。
創業49年目を迎え、これまで当社では、半導体関連事業、計測・計量機器事業、医療・健康機器事業という3つの事業を展開し、培ってきた「はかる」技術を活かしてニッチな市場でシェアを獲得してきました。
しかしながら、これら3つの事業の市場はいずれも規模や特性、今後の成長性が大きく異なります。より最適かつスピーディーなマネジメントには、事業部制へ移行し、それぞれの事業において判断できるような体制を構築する必要があると考えました。
2つ目は、マーケティング機能の強化による市場対応力の向上です。
当社は元々、開発した製品ありきの、プロダクトアウト型の事業展開でシェアを拡大してきました。国内の市場においては、当社の持つ技術をもとにしたプロダクトアウト型の製品には高い需要がありました。
しかし、市場が成熟するにつれ、プロダクトアウト型の手法では事業拡大への限界を感じるようになりました。そこで必要になったのが、マーケットイン型の発想を取り入れることでした。半導体事業本部とグローバルマーケティング本部の新設は、こうした目的や背景を現場に明確なメッセージとして伝えるという狙いもあります。

代表取締役執行役員社長 森島奏信

変化する半導体市場にどう挑むか
2社の強みを結集した新体制の狙い

他の事業に先行して半導体事業本部を設置した最大の理由は、半導体関連事業が当社の成長ドライバーであると考えているからです。A&Dは1977年5月に電子計測器メーカーとして創業しましたが、以来、半導体製造装置メーカー向けのユニットを手掛けてきました。また、事業会社ホロン(以下、ホロン)は、1985年5月に電子ビーム微小寸法測定装置メーカーとして創業して以来、一貫して半導体関連事業に特化してきました。
こうした両社の経緯も踏まえ、市場の特性と技術面において、相互的な理解が最も深い半導体関連事業から事業部制への移行準備をスタートしました。ホロンの代表取締役社長であり、半導体市場を熟知するエンジニア兼マーケッターでもある張皓副社長を事業本部長に任命したのも、そうした背景があってのことです。

半導体関連事業は、一昨年、昨年と中国の旺盛な需要の恩恵を受け、好調が続いていました。しかし、足元では中国向けの需要は減速傾向にあります。これは過去にも繰り返してきた半導体の需要変動によるものですが、その変動に対応するためには、新製品をリリースする必要があります。
現在の課題は、さらなる微細化と省電力化への対応です。A&Dとホロンのリソースを相互に利用することで、その課題に対応する製品の開発も可能だと考えています。
微細化や省電力化の流れがあるなかで、こういった課題を解決する製品をリリースすることで、新規顧客への販売が期待できます。
両社とも、顧客は同じ半導体関連企業です。製品ラインナップおよび顧客を増やすことで、事業全体としてさらなる成長が見込めます。特に、ホロンは半導体分野でグローバル市場に精通しているため、販売面において両社が協力していくことで、半導体需要が急増している国や地域のニーズにも応えていくことができると考えています。
両社のシナジーによる製品開発と市場開拓で、半導体関連事業の拡大を目指してまいります。

新たな事業創出への貢献
グローバルマーケティング本部が担う3つの役割

グローバルマーケティング本部の役割は、主に3つあります。
1つ目は、マーケットイン型の発想による製品企画です。
これまでの当社の事業は、保有する技術を応用して製品化することで展開していました。しかし、計量機器や健康機器のような成熟市場でシェアを高めるためには、よりグローバルな視点で国や地域の顧客ニーズをきめ細かく収集・分析し、投資効果の高いものから開発していくことが重要になってきています。すでにグローバルに展開している事業では、国や地域のニーズに合わせた製品企画の立案を開始しました。今後は、グローバルマーケティング本部が製品企画の中心的な役割を担います。
2つ目は、既存の3事業のなかでの、新規ビジネス創出の牽引です。例えば、現在、医療・健康機器事業は循環器向けの製品を中心に展開していますが、循環器向け以外の製品開発を検討する際、事前にマーケットを調査しておくことでスムーズな立ち上げが可能になります。
3つ目は、既存の3事業とは別の新事業、次世代セグメント立ち上げへの貢献です。
これは、既存事業の延長ではなく、まったく新しい事業への挑戦を支援するということです。新事業を始める際には、ゼロから自力で始めるケースもあれば、M&Aを利用するケースもあります。しかし、いずれの方法であっても、技術面でのシナジー等、事前に十分なフィージビリティ・スタディをもとに検証する必要があります。リソースは限られているので、マーケティングを効果的に活用し、スムーズな新事業立ち上げに貢献してほしいと思っています。

このように、今後ますます重要な役割を担っていくグローバルマーケティング本部には、営業本部で販売促進部長を務めていた吉田恭亮を本部長に任命しました。彼は、卓越した技術営業職として当社の成長を支えてきた一人で、以前はグループ会社の副社長を務めていました。これまでに培ってきた営業力、技術力、およびマネジメント力を存分に発揮してくれることを期待しています。

代表取締役執行役員社長 森島奏信

グローバル展開の加速と人的投資

マーケティングの強化を目的に立ち上げたグローバルマーケティング本部に「グローバル」という単語を冠した理由は、当社がグローバルに事業展開していることに起因します。当社は海外顧客の割合が高く、現地法人も多く有しておりますので、今後はそれらをどのように活用するかという段階に入っていると考えています。
例えば、新製品を企画する際、これまではそれぞれの国や地域から集めたウィッシュリストをもとに企画するという方法を採っていました。しかし、個々の要求はマーケティングに基づいたものなのか、将来どのくらいの成果を見込んでいるのか、といった部分についての検証が十分とは言えず、属人的な新製品企画になりがちでした。
グローバル展開を進めるにあたって、それらの課題を「見える化」および一元化したうえで全員が共有できるようにするとともに、成果が見込める順に計画してリソースを配分することが重要です。グローバルな相互理解を深めることで、本社の方針や要求にも現場が納得して対応できるようにし、より効率的な企画立案ができる体制を作っていきたいと考えています。
ただし、半導体事業本部とグローバルマーケティング本部という組織は、実際に行動・実践できる人財がいなければ、うまく機能することはありません。組織というのは勝手に出来上がるわけではなく、適切に機能させるには、そこにいる人間がいきいきとチャレンジできる文化を醸成することが最も重要かつ困難な課題だと思っています。
そうした意味で、今後重要になるのが「人的投資」です。
当社の人財活用における一番の問題は、グループ全体の人財情報を把握できる体制が整っていないことです。
国内外におけるグループの人財情報について、これまでは一部のマネージャー等が把握しているのみでした。今後は、戦略的な人財採用や適材適所の配置を可能にする体制を整えることが、グローバルな人財活用の第一歩になると考えています。

今回の組織改革以外にも人員の異動を実施し、アメリカ出身のスティーブン・プランケット(Steven Plunkett) を営業本部のトップに任命しました。
彼は、アメリカのグループ会社の社長として2025年4月に別の子会社を統合し、全事業を包括する体制づくりを行った実績があります。営業としてグローバル展開を統括してもらうことも考えているため、営業本部長として適任と判断しました。

半導体事業本部、グローバルマーケティング本部ともにまだスタートラインに立ったばかりですが、長期ビジョン2034・中期経営計画の実現に向け、今後も一歩一歩着実に取り組んでまいります。

株主・投資家の皆様へ

当社は、2025年5月に、長期ビジョン2034および2025年度から2027年度までの中期経営計画を策定しました。
そのなかで、株主・投資家の皆様から高い関心と期待を寄せられているのが、既存の事業における新製品開発や、新たな成長エンジンとなる次世代セグメントの創出です。いずれも当社がグローバルニッチトップ企業を目指すための重要な取り組みですので、今後もその進捗について発信してまいります。
また、社会的課題の解決にも真摯に取り組みながら、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいりますので、今後とも、皆様の変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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