ご挨拶TOP MESSAGE
株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
2025年3月期上半期の業績および今後の見通しをご報告いたします。
売上高・営業利益ともに当初予想を
上回って着地
事業活動強化のための人件費や新製品開発に伴う研究開発費増も
中期経営計画最終年度の目標に向け、通期の増収増益を目指す
半導体関連事業においては、一部下期への期ずれが発生したものの高水準の売上を維持、市場の回復基調が続くなかで当社グループ製品への需要は堅調に推移しております。利益に関しては、前年同期比減となりましたが、新製品開発に伴う研究開発費増などが影響したためです。医療・健康機器事業においては、海外の先行需要の一部取り込みがあったほか、欧州における現地でのシェア維持に注力したことで、前年同期比増収となりました。一方、営業活動強化に伴うコスト増や為替の影響により、利益は前年同期比微減でした。計測・計量機器事業においては、コロナ禍で先送りされていた設備更新の動きもみられ、計量機器・DSP機器ともに前年同期比増収となり、利益も前年同期から大きく増加しました。
以上の結果、当上半期の業績は、売上高30,375百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益3,273百万円(前年同期比3.5%増)、経常利益3,184百万円(前年同期比6.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,769百万円(前年同期比17.7%減)となりました。
2025年3月期業績見通しについて増収、営業利益二桁増を見込む
世界経済が直面する課題は、気候変動の影響や地政学的リスクの高まりなどを受け、ますます複雑化しております。
こうしたなかで、当社グループは、半導体やEVをはじめとした今後の需要拡大が見込まれる分野への積極的な投資に対応できるよう、安定的な生産体制の確立や新製品の開発を進めております。サステナビリティへの取り組みも強化しつつ、目まぐるしく変化する外部環境にも柔軟に対応していくことで、中期経営計画最終年度である2025年3月期の業績目標を達成できるよう、全社一丸となって取り組んでまいります。
株主の皆様には、引続きご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
業績ハイライトFINANCIAL HIGHLIGHTS
2025年3月期 上半期
インタビューINTERVIEW
「はかる」技術を追求する
計測・計量機器事業の現状と
今後の戦略
世界的なカーボンニュートラル社会やデジタル化社会へのシフトが加速するなか、「はかる」技術のイノベーションを追求するA&Dホロンホールディングスの計測・計量機器事業。
製品の用途やニーズ、日本と海外でのビジネス展開と今後の戦略について、計量機器事業、DSP機器事業を率いる各リーダーがお伝えします。
計量機器とDSP機器、それぞれの用途とニーズ
計量機器は地球環境の研究や新薬開発、EV用新型バッテリー等の開発に貢献
DSP機器は電動車開発における
重要コンポーネントの試験装置や
シミュレーションシステムを
提供することで開発効率化に貢献
長根
計量機器とは、重さなどをはかる機器を言います。私たちの生活のなかで身近なものですと、調理に用いるキッチンスケールやご家庭でお風呂場などに置かれている体重計といった、重さなどを検知し表示する機器になります。当社では、1円玉の100万分の1の重さである1㎍(マイクログラム)を検出できる高精度な電子天びんも取り扱っています。こういった高精度な機器は、新素材の開発や製薬会社での新薬開発部門、大気中の物質を集塵して地球環境の変化を調査している機関などさまざまな業種でマザーツールとしてご使用いただいています。
最近では、EV(電気自動車)用バッテリーやスマートフォンの製造ラインでのニーズが拡大しています。EV用新型バッテリーの製造過程で不可欠な微量の液体や、スマートフォンの液晶画面に塗る特殊な液体の計量に、当社の高精度計量機器が使われています。
田中
DSP(計測・制御・シミュレーションシステム)機器は、試験機のコントロールやリアルタイムにシミュレーション計算ができる装置の総称です。我々がこの事業を開始したときはコントローラのような小型の装置が中心でした。その後、ソフトウエアや機械装置と組み合わせた自動車のパワートレイン試験機やタイヤ試験機、シミュレーションを行えるHILS※システムのような大型のシステム機器にDSP機器を応用して事業を拡大してきました。現在ではこうしたシステム機器が売上の中心となっています。DSP機器、システム機器はいずれも自動車や自動車部品の研究開発で使用されるものです。さまざまな開発試験に使用されるのですが、試験機能の提供はもちろんのこと、開発現場での開発効率化や自動化等に活用されています。市場の変革が起きているなかで、システムでのソリューションの提供がますます重要となってきています。納入先は国内と北米の自動車メーカーや自動車部品メーカーが中心です。
※HILS:(Hardware In the Loop Simulator)制御対象となる機械装置をコンピュータの中の仮想環境に作り上げ実物と連動して作動する環境として検証する装置
2025年3月期上半期の振り返りと現状の課題
カーボンニュートラルに向けた
世界的な流れは不変的、
電動化への需要は高水準で推移
長根
国内とアジア・オセアニア地域での需要は堅調で、売上高は前年同期を上回り推移しました。一方で北米は、足元の出荷はまだ低調で、売上、利益ともに影響を受けていますが、設備投資需要回復への動きはあります。
田中
DSP機器の受注は順調に積みあがっています。EV向け試験システムの需要は伸びていますし、内燃機関向けシステムの需要も継続しています。ただ、大型システムはどうしても売上が期末に集中する傾向にありますので、上半期の売上に貢献できる製品ラインナップを強化する必要があります。EVについては世界市場での成長が少し鈍化して潮目が変わったと感じていますが、カーボンニュートラルに向けた世界的な流れが止まることは考えられません。電動化の需要は高い水準で推移しており、コロナ禍で抑制されていた設備投資も回復してきましたので、今後に期待しているところです。
下半期および来期以降に向けた目標と
戦略について
現地法人との課題共有と本社技術部門へのフィードバックを徹底し、
計量機器の北米市場売上拡大を目指す
長根
計量機器は海外での売上拡大が最大のテーマです。なかでも注力すべきは、北米市場です。国や地域によって必要とされる計量機器は異なりますし、ECサイトの利用者も当初の想定を超えていますので、マーケティング力を高めて販売チャネルの見直しをはかります。
戦略のベースは、現地法人との課題共有と本社の技術部門へのフィードバックです。直接的なコミュニケーションによって新製品の開発方針・製品群ごとの販売方針を伝え、現地メンバーの意見を聞く。そして彼らが抱えている課題や悩みを解決し、技術的な宿題は持ち帰って技術部門と協議します。コロナ禍でオンラインミーティングが定着しましたが、この夏、米国ミシガン州の現地法人で開催した地域戦略会議に参加して感じたのは、対面に勝るコミュニケーションはないということです。顔を見て話せば相手の胸の奥にある感情をくみとることができる。海外戦略を考えるとき、それが最も大事なことなのだと改めて思いました。米国、韓国のメンバーも同じ意見でしたので、今後は対面ミーティングの機会を増やしていきます。
長根
国内とアジアの生産子会社については、計量機器の生産ラインの自動化に向けた投資を継続します。とりわけ韓国の生産子会社の技術力には期待しています。日本の生産現場で設備を導入すれば、その仕様を細部まで解析して同等の性能を持つ生産設備を自力で開発できるほどの技術力があります。日本語を理解している技術者も多いので、工場の自動化を進めながら製品のクオリティを高められると期待しています。
DSP機器は国内自動車メーカーの
電動化向け試験設備を優先
内燃機関向け試験設備が継続する
可能性も踏まえ、柔軟に対応
田中
DSP機器は国内市場が中心となります。国内の自動車メーカーとその関連会社は研究開発部門および生産設備への投資が復活してきています。なかでも優先順位が高いのは電動化への対応で、今後は当社の設備で電動化の試験をしていただける受託試験サービスを推進していきます。戦略の方向性については、お客様の動向をキャッチアップしながら修正していきます。世界的に見れば電動化向け試験設備の需要が高まっていることは間違いありませんが、現状では当社が技術力を蓄積してきた内燃機関向け試験設備が今後も従来の予想より長く継続する可能性が十分にあります。それを踏まえて当面は並行して進め、来期以降の方向性を見極めていきます。
北米は国内ほどの売上規模ではありませんが、計量機器と同じくミシガン州を拠点に米国の自動車メーカーとの取引拡大を目指しています。さきほど長根から「対面に勝るコミュニケーションはない」という話がありましたが、私も同感です。先日、ひさしぶりに現地で戦略ミーティングを行ったところ、情報交換のタイミングと内容について、多くのリクエストを受けました。本気でビジネスの拡大を目指すなら、オンラインでのコミュニケーションに頼っていてはいけないと痛感しました。
田中
アジア地域についてはまだまだこれからですが、DSP機器をシステムで提供できる我々が取り組んでいるのは協業です。2023年、中国の試験機メーカーを視察したときに日本の技術力に対する期待も感じましたが、アジア市場や北米市場も含めて我々の理想は一緒に新しい価値を創出しお客様に提供すること。日系企業との連携も含めて柔軟に進めていきたいですね。
職場環境の魅力と人材育成方針について
一番の魅力は独創的なアイデアを
具現化できる環境
目的とターゲットを明確にすることに
より技術力をさらに高める
長根
私は40年以上前に新卒採用で入社しました。以来会社は、幾度かのM&Aにより成長と変革を続けてきましたが、私が入社時に感じた自由闊達な社風は今日までずっと受け継がれています。一番の魅力は、独創的なアイデアを具現化できることです。
田中
私は中途採用ですが、開発部門に来て最初に感じたのは、技術ドリブン(technology driven)が根付いていることです。自社で新たな技術を開発して製品化することによって成長してきた会社なのだと思いました。
長根
メーカーの技術力を高めるエンジンは独創性だと思います。だから一人の技術者の斬新な発想を、チームで広げて実現する、そんな技術者集団でありたいと考えています。さまざまな企業文化を受け入れてきた会社でもありますので、ゼロからスタートする新人も他社で経験を積んだ技術者も自分らしさを損なうことなく成長できると思います。
もちろん、思いついたことをどんどん形にしていけばいい、ということではありません。米国での地域戦略会議でも時間をかけて話をしましたが、今後の課題はグローバルなマーケティング力を高めることです。製品開発の目的とターゲットをより明確にすれば、当社の最大の強みである技術力をさらに高められると考えています。
TOPICS
「はかる」へのこだわり計測・計量機器事業編
生活や産業を支える、地味であっても不可欠な「はかる」技術。
私たちは、その正確さにこだわりを持ち続け、社会に貢献しています。
乾燥を「はかる」
保存性の高い乾燥食品を製造するためには、最適な乾燥プログラムの構築が必要です。
床下ひょう量金具を標準装備したA&Dのベーシック電子天びんは、温風乾燥挙動のモニタリングが可能な温風乾燥試験機に採用され、食品の乾燥具合を調べるための正確な計量のお手伝いをしています。試験装置への組み入れやすさや、測定データをパソコンへ通信する際の設定のスムーズさもポイントです。
にわとりを「はかる」
ITによる効率化は、養鶏の分野でも進んでいます。A&Dのはかりは、クラウド型飼育管理システムで利用することもできます。
鶏舎で採用していただいたのは、水に浸して洗える衛生的なBluetooth®通信モデルのはかり。にわとりの体重測定作業が省力化できたことで、時間外労働の50%削減や、にわとりが受けるストレスの軽減にもつながりました。期待の飼育管理システムの使いやすさ向上に、A&D製品も一役買っています。
食の安全を「はかる」
食品の安全に欠かせない「金属異物検査」と、商品の賞味期限を延ばすために重要な「鉄系脱酸素剤欠品検査」。従来は2台の金属検出機により、別々に検査を行う必要がありました。
しかし、A&Dの金属検出機なら、脱酸素剤対応オプションにより「金属異物検査」と「脱酸素剤欠品検査」を一度に行えます。食品の安全と同時に、生産効率の向上や検査時間の短縮も叶えることができました。
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