第48期期末株主通信

ご挨拶TOP MESSAGE

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
2025年3月期の業績および2026年3月期の業績見通しについてご報告いたします。

前期比増収増益を継続、
売上高は中期経営計画最終年度の
計画を上回る

半導体関連事業は、生成AI向け先端半導体の需要増加や各国の継続的な設備投資拡大を背景に、当社グループ製品への需要も堅調に推移し、売上高および利益は、ともに前期を大きく上回りました。特に、利益面については、成長投資としての研究開発費の増加がありつつも、増益を達成することができました。医療・健康機器事業は、日本や米国における需要が弱含みで推移したものの、欧州でのシェア維持・拡大により、全体では前期比増収となりました。計測・計量機器事業においては、第4四半期における国内での計量機器需要の持ち直しや、好調なDSP機器需要により増収となりました。また、増収効果に加え、国内での継続的な利益率改善の取り組みが奏功したこともあり、前期比で大幅な増益となりました。以上の結果、2025年3月期の売上高は67,083百万円(前期比8.3%増)、営業利益は8,813百万円(前期比10.8%増)、経常利益は8,954百万円(前期比8.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,468百万円(前期比22.1%増)となりました。

長期ビジョン・
新中期経営計画のもと、
2026年3月期は売上高700億円、
営業利益95億円を見込む

世界経済は引き続き底堅い成長を維持している一方で、ウクライナや中東地域等の地政学リスクに加え、米国の関税政策による輸出への影響、為替の変動など、先行きに対する不確実性は高まっています。当社グループを取り巻く環境も同様に不透明な状況が続いていますが、外部環境に左右されない持続的な成長に向け、2035年3月期までの長期ビジョン『Sensing the Future ~「はかる」を究め、世界を支える~』と新たな中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を策定いたしました。
2026年3月期は、『事業価値の再定義と基盤の再構築』をテーマとした新中期経営計画のもと、各事業の戦略およびグループ機能を強化するための施策を推進していくことで計画達成を目指します。
当社グループは引き続き成長に向けた取り組みに尽力してまいりますので、株主の皆様にも、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

業績ハイライトFINANCIAL HIGHLIGHTS

2025年3月期

  • 売上高

    670.8 億円

    前期比

    8.3 % UP

  • 営業利益

    88.1 億円

    前期比

    10.8 % UP

  • 親会社株主に帰属する
    当期純利益

    64.7 億円

    前期比

    22.1 % UP

業績推移

(単位:億円)

  • 売上高

    【売上高】2022年3期2Q:517億円 2023年3期2Q:590億円 2024年3期2Q:620億円 2025年3期2Q670.8億円
  • 営業利益

    【営業利益】2022年3期2Q:55億円 2023年3期2Q:75億円 2024年3期2Q:80億円 2025年3期2Q88.1億円
  • 親会社株主に帰属する当期純利益

    【親会社株主に帰属する当期純利益】2022年3期2Q:36億円 2023年3期2Q:55億円 2024年3期2Q:53億円 2025年3期2Q64.7億円
2025年3月期の決算情報はこちら

長期ビジョン・
中期経営計画インタビューINTERVIEW

売上高1,500億円、営業利益300億円の
グローバルニッチトップ企業へ
長期ビジョン2034
『Sensing the Future
~「はかる」を究め、世界を支える~』
豊かで持続的な社会づくりに
グローバルに貢献するための新たな10年間

2025年5月、A&Dホロンホールディングスは、2034年までの10年間を見据えた長期ビジョンを策定しました。これは、創業以来育んできた「はかる」技術を究めること、グローバル市場での展開をマーケット視点で推進していくこと、その担い手となる人財を育てることなどに重点を置いたものです。また、長期ビジョンは3つのステップで構成され、そのSTEP1としてFY2025-FY2027の中期経営計画も併せて策定しました。A&Dホロンホールディングスが目指す姿と、中長期の戦略について、代表取締役 森島泰信が解説します。

代表取締役執行役員社長 森島奏信

社会の基盤となる「はかる」技術を究め、
新たに生まれ続ける社会課題の中の
「はかる」ニーズを支える企業へ

私たちは、創業からこだわりを持って育ててきた「はかる」技術に、マーケットインと社会課題解決の視点を加えた新たな戦略によって、さらなる成長を目指すための長期ビジョンを策定しました。
『Sensing the Future ~「はかる」を究め、世界を支える~』と冠したこのビジョンは、さらなる飛躍に向けた変革の施策を、私たちが目指す10年後の「ありたい姿」からバックキャストで導き出したものです。
私たちは、質量(重さ)、長さ、圧力、温度などさまざまな「はかる」技術の開発と製品化を事業として成長してきました。「はかる」は、その対象個々の市場は小さな市場で、技術要素も非常にニッチです。しかし、はかるための技術や装置はあらゆる産業を横断して活用され、「はかれないものは作れない」と言われるほど、社会の発展を支える重要な基盤となっています。
長期ビジョンで定義した産業セグメントにおいて、モビリティ領域ではフレーム、サスペンション、ボディ、エンジン、モーター、トランスミッション、タイヤなどの特性をはかることが性能・安全性の改善や環境規制への対応につながります。また、ヘルスケアセグメントでは、バイタルデータをはかり、活用することで健康維持や医療の発展につながっています。
「はかる」ニーズは今後も精度やスピードなどの点で高度化し、今まで「はかる」ことができなかったものを「はかる」という新たなニーズも生まれ続けます。私たちは「はかる」技術を社会に提供することを通じて、豊かで持続的な社会づくりにグローバルに貢献する企業グループを目指します。

売上高1,500億円、
営業利益300億円企業への飛躍を見据えた
3ステップの挑戦

長期ビジョンでは、2025年から2034年の10年間を3つのステップに分けています。
STEP1(FY2025-FY2027)は、『事業価値の再定義と基盤の再構築』をテーマとし、既存事業を見つめ直し、経営基盤を強固にする期間としました。グローバル展開や挑戦する人財の育成など、次の成長に向け種をまき、育てることで、その後のステップにつなげていく考えです。
STEP2(FY2028-FY2030)は、『1,000億企業への成長』をテーマとし、マーケットインと社会課題解決の視点から再設定した事業領域を基にして、事業部制への移行を完了させることを目標としました。各事業のシェア拡大によって、売上高1,000億円を目指します。
最後のSTEP3(FY2031-FY2034)では、『更なる飛躍と新事業確立』をテーマとし、次世代の柱となる新領域事業の創出と確立を実現します。
長期ビジョン実現のための施策を着実に実行していくことで、2034年には売上高1,500億円、営業利益300億円の企業へと飛躍していきます。

マーケットインとプロダクトアウトの
共存により、
「はかる」の
グローバルニッチトップを追求

長期ビジョンを実現するための施策として、5つの基本戦略を設定しました。
1つ目は、社会課題の解決に向けた事業ポートフォリオの改革です。
社会とマーケットの変化に対応できるよう、従来の技術要素や製品に基づくセグメント体制からマーケット別に事業領域を再設定することで、より細分化したそれぞれの市場において、グローバルニッチトップの追求等をしていくことを目指します。また、新たな成長エンジンとなる領域として、新事業の創出にも取り組みます。
2つ目は、マーケットインの視点で顧客に価値提供ができるビジネスモデルへの転換です。
私たちはこれまで、多様な「はかる」機器を主にプロダクトアウトの思考で作り出してきました。しかし、今後はマーケットインの思考を取り入れることで市場のニーズに合わせ、顧客視点から技術や製品を作り出すことも重視し、プロダクトアウトとマーケットインが共存するビジネスモデルへと変革していきます。
3つ目は、“「はかる」を究め、世界を支える”を実現するための、新たな開発機能と生産機能の構築です。
具体的には、私たちが持つ基盤技術について、事業部門を超えて共有することでR&D(研究開発)機能を強化することを考えています。その過程で、日本と米国の他にも研究開発拠点を増やすことも検討していきます。また、顧客や販売拠点の情報をデータプラットフォームで一元管理することで、グローバルなサプライチェーンの構築と生産DXを推進します。
4つ目は、ポートフォリオマネジメントの高度化です。
事業セグメントそれぞれの成長性や効率性、技術シナジーなどを定量と定性の両面で評価するマネジメントによって投資の最適化や事業の再構築を行い、持続的な企業価値向上を実現していきます。
5つ目は、サステナビリティ経営の推進です。
社会価値と経済価値の両立、地域やステークホルダーとの連携強化、人的資本経営の強化、強固な企業基盤の構築をマテリアリティに掲げ、サステナブルな企業へと変革するとともに、環境や社会、ステークホルダーの発展にも貢献していきます。

長期ビジョン実現のために策定した、
着実なステップとしての新中期経営計画

長期ビジョン実現のためのSTEP1(FY2025-FY2027)の期間では、「事業価値の再定義と基盤の再構築」をテーマとして掲げ、新たな中期経営計画を策定しました。
「事業価値の再定義」においては、次の成長に向けたグローバルマーケティング機能の構築、グローバル展開の加速と事業ポートフォリオを意識した成長の実現、そして、事業成長を支える研究開発と生産機能の強化を基本戦略としています。
また、「基盤の再構築」においては、事業ポートフォリオマネジメントの運用と、環境の変化に順応するサステナビリティ経営の実装に取り組んでいくことを基本戦略としています。

グローバル化と新技術・
新製品の開発強化を基盤とした
新たな成長戦略

中期経営計画では、半導体関連事業、計測・計量機器事業、医療・健康機器事業の3つの事業別に成長戦略を立てました。
まず、半導体関連事業では、アジア圏を中心とした海外でのサプライチェーン構築が加速していくと考えられることから、グローバル対応を進めていくことが重要な課題だと認識しています。また、AIの普及によってさらに高性能で消費電力を低減させた製品が求められ、技術的には微細化や多層化による立体化などの技術革新が進むと予測しています。
これらを受けて、私たちは主要なターゲット市場となるアジア圏におけるプレゼンスの向上とグローバルシェアの拡大を目指すこととしました。製品ラインナップが少ないと市場動向の影響を受けやすいことから、新製品の開発と、そのための技術強化も推進していきます。
計測・計量機器事業は、インフレを背景とする人件費の高騰や高止まりにより、AIなどを活用する無人化、自動化、遠隔化のニーズも高まっており、需要と投資は今後も活性化すると考えられます。また、規制強化による品質管理や認証取得の重要性も増すと予測しています。加えて、カーボンニュートラルへの動きが活発になるなかで、環境規制対応への投資などにより、モビリティ領域での事業も成長が期待できます。
これらの動きを背景に、北米や中国での販売を強化しグローバルシェアの拡大を目指すとともに、ラボ市場や、ファクトリーオートメーション市場に向けた新製品開発を進めていきます。また、環境対応型製品としての熱マネジメントシステムや規制対応のためのタイヤ試験機開発、EV向けなどのエンジニアリングサービスの拡大にも取り組んでいきます。
医療・健康機器事業では、AIやビッグデータ解析を用いた医療活動の最適化が進み、デジタルヘルス、ヘルステックといった医療DXへの投資が拡大傾向にあります。また、これらの技術を活用した医療のパーソナル化も進んでいくと考えられます。
昨年、北米でセルラーモジュール搭載の家庭用血圧計を発売するなど、すでに国ごとの需要に応じた製品をリリースしていますが、今後も家庭用血圧計のグローバルな拡販に注力していきます。また、医療分野でのDX向けソリューション製品の拡充や、最先端技術へのアプローチとして産学連携によるイノベーション製品の開発活動も推進していきます。

持続的成長を目指すための
戦略的な投資と株主還元の強化

STEP1においては、新たにキャッシュアロケーションも設定しています。FY2025-FY2027の間の営業キャッシュフロー総額を約500億円として、投資と株主還元を進めていきます。
成長投資および戦略投資としては、R&Dセンターやスマートファクトリー化への投資に加え、各業務のDX推進、M&Aなどで計150億円を見込んでいます。
研究開発投資としては、新製品開発やグローバルでの開発体制の構築と推進など、イノベーションのための継続投資として計220億円を見込んでいます。
また、事業基盤強化投資として、既存設備の維持更新、ITインフラの整備などを目的に、計78億円の投資も見込んでいます。
株主還元では、中期経営計画期間において、計52億円の配当を考えております。2027年度(2028年3月期)には配当性向を30%とする方針です。
今後、私たちの取り組みをより鮮明に伝えることを意識し、IR活動を強化していく予定です。皆様とのIRミーティングの実施や皆様からの意見を踏まえた情報開示の拡充、施設見学会の実施などにも取り組んでいきます。

代表取締役執行役員社長 森島奏信

「事業価値の再定義と基盤の再構築」
により、
社会の変化も新たなチャンスに

米国の関税政策や地政学リスクなど、株式市場や世界経済の先行きは引き続き不透明な状況にあります。しかし、少し視点を変えると、社会の変化は新たなビジネスチャンスをもたらします。
こうした状況下で、私たちはまず中期経営計画の達成を目指し、次の飛躍につながるチャンスを掴むための、あらゆる変化を想定した準備を進めてまいります。

長期ビジョン・中期経営計画の説明資料
および説明動画はこちら

トピックスTOPICS

A&Dホロンエコプロダクツ
認定制度を導入

認定ラベル
認定ラベル

2024年11月より、環境配慮性に優れた製品を自社認定する「A&Dホロンエコプロダクツ認定制度」を導入しました。
グループ全製品を対象とし、環境貢献の考え方に基づく認定基準を満たした製品を「エコプロダクツ」として認定します。
環境配慮型製品の開発および販売を推進することで、環境負荷低減や地球環境の保全に取り組んでいきます。

2024年11月より、環境配慮性に優れた製品を自社認定する「A&Dホロンエコプロダクツ認定制度」を導入しました。
グループ全製品を対象とし、環境貢献の考え方に基づく認定基準を満たした製品を「エコプロダクツ」として認定します。

認定ラベル
認定ラベル

環境配慮型製品の開発および販売を推進することで、環境負荷低減や地球環境の保全に取り組んでいきます。

認定基準・貢献ポイント

  • 貢献 ①

    最終製品による
    環境貢献

  • 貢献 ②

    生産現場における
    環境貢献

  • 貢献 ③

    最終製品普及による
    環境貢献

顧客の開発部門・生産部門にて
当社製品を使用

↓

開発・生産された
製品が
環境負荷低減に貢献

Ex.電動車のモータ・バッテリ開発
電動車の二次電池製造

生産現場での
省エネ・
歩留まり
向上等に貢献

Ex.半導体製造、食品製造

  • 貢献 ④

    当社製品自体の
    環境貢献

製品該当基準

当社従来品・他社同等品比でa~eいずれかにおいて20%以上の改善・優位性が見込めるもの

  • a.省電力化
  • b.軽量化・小型化
  • c.省資源化・再資源化
  • d.高性能化(処理速度・検査精度・長寿命等)
  • e.製造工数

認定製品例

計測・計量機器事業

  • 生産ライン組込み用高精度計量センサー AD-4212Cシリーズ
    生産ライン組込み用高精度計量センサー
    AD-4212Cシリーズ
    • 貢献 ①
    • 貢献 ④

    従来製品より27%小型化、消費電力を68%削減、応答速度を1.8倍に向上。電動車用二次電池の製造ラインで電解液の充填量の確認に使われており、精密かつ安全な二次電池製造に貢献

  • バッテリHILS(バッテリ開発向けシミュレータ)
    バッテリHILS
    (バッテリ開発向けシミュレータ)
    • 貢献 ③

    当製品を使用したMBD※により、電動車の重要コンポーネントであるバッテリの劣化状態再現や長い充電時間、安全性など、実バッテリでの課題を解消し制御開発の効率化に貢献

    • ※MBD :モデルベース開発(Model Based Development)

医療・健康機器事業

  • 上腕式ホースレス血圧計 UA-1100NFC
    上腕式ホースレス血圧計
    UA-1100NFC
    • 貢献 ④

    血圧計本体とカフをつなぐホースを失くすことでゴム材を削減、コンパクト設計によりマスターカートンの体積も1/3に削減し環境負荷低減に貢献

半導体関連事業

  • フォトマスク用寸法測定・欠陥レビュー装置 ZX/LEXa-20
    フォトマスク用寸法測定・欠陥レビュー装置
    ZX/LEXa-20
    • 貢献 ①
    • 貢献 ②
    • 貢献 ④

    従来製品より省電力化、高性能化を実現し生産性が1.5倍に向上。半導体製造に必要なフォトマスクの寸法測定・欠陥レビューを行うことで半導体チップの低消費電力化や歩留まり向上に貢献

エコプロダクツ認定製品中期目標

「グループ製品売上高に対するエコプロダクツの比率を
2024年度の16%から
2027年度には20%以上引き上げる」

詳しくは、当社「サステナビリティの取り組み」資料をご覧ください。

サステナビリティの取り組みはこちら

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